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VPNについて、「自分のIPアドレスを海外へ変えるもの」「海外の動画を見るためのもの」と認識している方もいると思います。
しかし、VPNが安全性を補強する理由は、海外のIPアドレスへ変わることではありません。iPhoneやMacなどの端末とVPNサーバーの間に、暗号化された通信経路を作ることが中心です。
そのため、日本のホテルやカフェでフリーWi-Fiを使う場合、日本のVPNサーバーへ接続しても意味があります。海外サーバーを選ばなければ安全にならない、という仕組みではありません。
この記事では、VPNを使ったときに通信経路がどう変わるのか、HTTPSとは何が違うのか、日本サーバーを選ぶ意味、VPNでも防げない危険を分けて解説します。
結論:VPNは端末からVPNサーバーまでの通信を暗号化する
VPNへ接続すると、端末の通信は暗号化された経路を通ってVPNサーバーへ送られ、そこからインターネットへ出ていきます。
| 比較 | VPNを使わない場合 | VPNを使う場合 |
|---|---|---|
| 通信経路 | 端末 → Wi-Fi・通信事業者 → Webサイト | 端末 → 暗号化された経路 → VPNサーバー → Webサイト |
| 接続先から見えるIP | 自宅回線やモバイル回線などのIP | VPNサーバーのIP |
| Wi-Fi提供者から見える範囲 | 接続先などの情報が見える場合がある | VPNサーバーへの接続、通信量などは分かるが、トンネル内の内容は読みにくくなる |
| 接続国 | 通常の接続元 | 選んだVPNサーバーの国・地域として扱われる場合がある |
ESETのVPN解説でも、VPNは端末とVPNサーバーの間にトンネルを作り、通信内容を暗号化する仕組みとして説明されています。
ただし、VPNサーバーから先の安全性までVPNだけで保証されるわけではありません。Webサイトとの通信にはHTTPSも必要です。また、VPN運営会社へ通信を預けることになるため、運営元とプライバシーポリシーを確認して選びます。
VPNを使わない場合と使う場合の通信経路
VPNを使わない場合
ホテルのフリーWi-FiでSafariからWebサイトを開く場合、通信はおおむね次の順で進みます。
iPhone・Mac → ホテルのWi-Fi → インターネット → Webサイト
HTTPS対応サイトなら、端末とWebサイトの間の内容は暗号化されます。そのため、フリーWi-Fiへ接続しただけで、入力内容が必ず周囲へ丸見えになるわけではありません。
一方で、施設の正規ネットワークに似せた偽アクセスポイントや、偽のログイン画面、安全性の低い通信を使うサービスなどのリスクは残ります。
ホテルやカフェで接続前後に確認する項目は、フリーWi-FiをiPhoneで安全に使う方法で具体的に解説しています。
VPNを使う場合
VPNへ接続すると、通信経路は次のように変わります。
iPhone・Mac → 暗号化されたトンネル → VPNサーバー → インターネット → Webサイト
ホテルのWi-Fiからは、端末がVPNサーバーと通信していることや通信量などは分かる場合があります。しかし、暗号化されたトンネルの中身は読み取りにくくなります。
VPNサーバーからWebサイトまでの区間では、HTTPSなどアクセス先側の暗号化も重要です。VPNとHTTPSは、どちらか一方だけあれば同じになる機能ではありません。
VPNが安全性を補強する3つの理由
1. 端末とVPNサーバーの間を暗号化する
公共・共有Wi-Fiを使うとき、通信は自分が管理していないアクセスポイントを通ります。VPNは端末からVPNサーバーまでを暗号化し、同じネットワーク上やWi-Fi提供者側から通信内容を読み取られるリスクを抑えます。
暗号化の方式や接続プロトコルはVPNサービスによって異なります。たとえばESET VPNでは、自動選択のほか、WireGuardやIKEv2などの接続方式が案内されています。詳しくはESET VPNの接続設定で確認できます。
2. 接続先から見えるIPアドレスを切り替える
VPNを使うと、アクセス先のWebサイトからは、通常の回線ではなくVPNサーバーのIPアドレスから接続しているように見えます。
これにより、接続元のIPアドレスを直接見せずに通信できます。また、Web制作では米国などのサーバーへ接続し、海外IPからのアクセス制限が実際に機能するか確認する用途にも使えます。
IPアドレスが変わっても、ログインしたサービスではアカウントから本人を識別できます。VPNは匿名化を保証する仕組みではありません。
3. DNSリーク防止やキルスイッチを利用できる場合がある
VPNサービスによっては、DNSの問い合わせがVPNの外へ漏れるのを防ぐ機能や、VPN接続が切れたときにインターネット通信を止めるキルスイッチがあります。
ESET VPNにはDNSリーク防止とキルスイッチが案内されています。キルスイッチは、VPNが意図せず切断されたときに通常回線へ戻って通信を続けることを防ぐ機能です。
ただし、機能の有無や初期設定はサービス・OSによって異なります。「VPNを入れたから自動的にすべて有効」と考えず、利用するアプリの設定を確認してください。
日本のホテルで日本サーバーを選ぶ意味
日本にいるのに、日本のVPNサーバーへ接続することを不思議に感じるかもしれません。
フリーWi-Fi利用時の安全性を補強する目的なら、日本サーバーへの接続で問題ありません。端末と日本のVPNサーバーの間にも暗号化された経路が作られるためです。
日常利用では、物理的に近いサーバーの方が通信距離を抑えやすく、海外サーバーより低い遅延で利用できる傾向があります。筆者がMacでESET VPNを実測したときも、日本接続より米国Atlanta接続の方がレイテンシが大きくなりました。測定条件と結果は、ESET VPNの日本・米国サーバー速度実測で公開しています。
| 利用目的 | 選ぶ接続先の目安 |
|---|---|
| 日本のホテルやカフェで通信を保護したい | 近い日本サーバーまたは自動選択 |
| 普段のWeb閲覧や仕事をしたい | まず日本サーバー。問題があれば別の日本接続先 |
| 海外から見たWebサイトの表示を確認したい | 確認対象の国・地域 |
| 海外IPブロックの動作を検証したい | ブロック対象にした海外の接続先 |
| 接続が遅い・不安定 | 近い別サーバーまたは自動選択 |
海外サーバーは、安全にするため必ず選ぶものではありません。地域判定を変える、制作したサイトを海外IPから検証するなど、目的がある場合に選びます。
VPNとHTTPSの違い
VPNとHTTPSは、暗号化する通信経路と役割が異なります。
| 機能 | 主に保護する範囲 | 分からない・防げないこと |
|---|---|---|
| VPN | 端末からVPNサーバーまで | 接続先が本物か、入力先が詐欺サイトか |
| HTTPS | 端末またはVPNサーバー側からWebサイトまで | そのWebサイト自体が信頼できるか |
HTTPSは、ブラウザとWebサイトの間で通信内容を暗号化します。現在では多くのWebサイトやアプリがHTTPSを利用しています。
ただし、フィッシングサイトもHTTPSに対応できます。アドレス欄に鍵の表示があっても、「本物の企業が運営する安全なサイト」という証明にはなりません。
VPNとHTTPSを併用すると、フリーWi-Fi上ではVPNトンネルで保護し、VPNサーバーからアクセス先まではHTTPSで保護する形になります。どちらも、入力先のURLやサービス自体を確認する作業の代わりにはなりません。
VPNでも防げないこと
VPNは通信経路を保護する機能であり、端末や利用者のすべての操作を安全にするものではありません。
- 偽サイトへ自分で入力したID、パスワード、カード情報の窃取
- 不正なアプリや構成プロファイルのインストール
- 添付ファイルやダウンロードによるマルウェア感染
- 使い回したパスワードの漏えい
- VPNサーバーより先でHTTPSを使わない通信
- ログイン先サービスによるアカウントの識別
- VPN運営会社の管理やプライバシー方針に関するリスク
VPNをオンにした後も、OSとアプリの更新、多要素認証、URLの確認、セキュリティソフトなどを組み合わせます。
「ウイルスに感染しました」と表示され、VPNやアプリの導入を急かされた場合は広告や偽警告の可能性があります。iPhone・Macで偽のウイルス警告が出たときの対処法を確認してください。
VPNサーバーの選び方
公共Wi-Fiで使うなら近い日本サーバー
ホテルやカフェで通信経路を保護したい場合、まず日本サーバーまたはアプリの自動選択を使います。海外サーバーへ接続して通信速度や応答時間を犠牲にする必要はありません。
ホテルの利用規約画面が表示されない場合は、いったんVPNを切断し、正規のWi-Fiへログインしてから接続し直します。
海外表示を確認するなら目的の国
Web制作や運用では、接続元の国によって表示やアクセス制限が変わる場合があります。海外IPからの動作確認が目的なら、確認したい国・地域のサーバーを選びます。
筆者は、WordPressのお問い合わせフォームで海外IP制限を設定したあと、ESET VPNで海外へ接続して、実際にアクセスが拒否されることを確認しています。操作方法は、ESET VPNを使って海外IPから確認する手順で解説しています。
遅い・つながらない場合は接続先を変える
一つのサーバーだけで通信が遅い場合は、同じ国の別サーバーや自動選択を試します。VPNへ接続できない、接続後にインターネットが使えない場合は、ESET VPNがつながらないときの対処法をご覧ください。
ESET VPNが合う人
ESET VPNは、ESET HOME セキュリティのPremiumとUltimateで利用できます。Essentialには含まれません。
次のような方には候補になります。
- MacやWindowsのセキュリティ対策とVPNをまとめたい
- iPhoneでも同じ契約のVPNを利用したい
- ホテルやカフェのフリーWi-Fiを使うことがある
- 制作したWebサイトを海外IPから確認したい
- セキュリティ製品とVPNの契約を分けたくない
一方、VPNだけを低価格で使いたい方や、特定の動画サービスでの利用だけが目的の方には、VPN単体サービスの方が合う可能性があります。
ESETではプランによってVPNの有無や利用台数が異なります。ESET HOME セキュリティの3プラン比較で必要な機能を確認し、購入条件が決まったらESETの新規購入手順へ進んでください。
ESETを初めて購入する方は、ESET HOME セキュリティの新規購入ページで現在の商品と販売条件を確認できます。既存契約の更新や無料体験後の購入は、新規購入とは条件が異なります。
VPNの安全性に関するよくある質問
日本にいるのに日本サーバーへ接続する意味はありますか?
あります。安全性を補強する中心は、端末とVPNサーバーの間に暗号化された経路を作ることです。日本サーバーへ接続しても、この暗号化は利用できます。普段の利用では、近い日本サーバーの方が遅延を抑えやすい傾向があります。
VPNを使えばフリーWi-Fiは必ず安全ですか?
必ず安全になるわけではありません。VPNは通信経路を保護しますが、偽アクセスポイントやフィッシングサイトを本物に変える機能ではありません。施設が案内する正規のネットワーク名を確認し、重要な操作ではモバイル通信も検討してください。
VPNは常時オンにした方がよいですか?
利用目的によります。会社や学校から指定されている場合、公共Wi-Fiで常に保護したい場合は常時接続が必要になることがあります。一方、自宅の信頼できる回線で速度やサイト利用に問題が出るなら、必要な場面だけ使う選択もできます。
VPNを使うとウイルス対策になりますか?
VPNは端末内のファイルを検査する機能ではありません。マルウェア対策、危険なWebサイトの検知、OS更新とは役割が異なります。セキュリティソフトとVPNがセットになった製品でも、それぞれの機能を分けて考えてください。
VPNへ接続するとIPアドレスは変わりますか?
アクセス先からは、通常、選択したVPNサーバーのIPアドレスから接続しているように見えます。ただし、ログイン中のアカウント、Cookie、端末情報など、IPアドレス以外から利用者を識別できる場合があります。
VPN運営会社には通信が見えますか?
VPNを使うと、通信経路の一部をVPN運営会社へ預けます。HTTPSで暗号化された内容をそのまま読めるわけではありませんが、運営会社のログ方針や管理体制は重要です。利用前に運営元、プライバシーポリシー、保存するログの種類を確認してください。
まとめ
VPNが安全性を補強する理由は、IPアドレスを海外へ変えることではありません。端末とVPNサーバーの間に暗号化された通信経路を作ることが中心です。
日本のホテルやカフェでフリーWi-Fiを使う場合、日本のVPNサーバーへ接続しても意味があります。通常の利用では、近い日本サーバーや自動選択を使う方が、遅延を抑えやすくなります。
海外サーバーは、地域による表示の違いや海外IPブロックを確認するときなど、目的に合わせて選びます。
VPNは偽サイトへの入力、マルウェア感染、危険なアプリの導入まで防ぐ機能ではありません。正規のWi-FiとURLを確認し、HTTPS、OS更新、多要素認証、必要に応じたセキュリティソフトを組み合わせてください。