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AIを使えば、ホームページの見た目はすぐに形になります。一方で、問い合わせをどう受けるかは自動では決まりません。ここだけは、作る人が選ぶ必要があります。
そして、この選択は後から変えるのが面倒です。フォームを作って運用を始めてから「やっぱりやめたい」となっても、すでに受け取った個人情報が手元に残ります。
この記事では、問い合わせの受け方を3つに整理し、それぞれに何が起きるかを説明します。結論は最初に書きます。自分でコードを確認できないなら、無理にフォームを作る必要はありません。
この記事が想定している読者
AIを使ってホームページを作り、自分で運用していく非エンジニアの方を想定しています。これからAIでホームページを作ってみたい方、中小企業の経営者、店舗のオーナー、個人事業主の方などです。
フォームの仕組みを理解していて、送信先やデータの扱いを自分で確認できるなら、フォームで問題ありません。 この記事を載せているうさぎコードも、問い合わせはフォームで受けています(詳しくは後述します)。
問い合わせの受け方は3つある
まず全体像です。
| ① メールアドレスを載せる | ② フォーム(送信のみ) | ③ フォーム(データ保存) | |
|---|---|---|---|
| 個人情報を預かるか | 預からない | 預からない | 預かる |
| 届く場所 | メールソフト | メールソフト | サイト内+メール |
| 必要なもの | メールアドレス | サーバー・CMS・設定 | 左に加えて保管と削除の運用 |
| スパム | 届きやすい | 対策が必要 | 対策が必要 |
| 漏えいのリスク | 送信経路のみ | 送信経路のみ | 保管データも対象 |
| 向いている規模 | 個人・小規模店舗 | 小〜中規模 | 体制がある組織 |
AIにホームページを作らせると、多くの場合③に近いものが出てきます。フォームがあり、送信されたデータをどこかに保存するコードが含まれている、という形です。そこが分岐点になります。
データを保存するフォームが、個人・小規模に重い理由
③を選ぶと、問い合わせの内容を預かる側になります。氏名、メールアドレス、電話番号、相談内容。これらは個人情報です。
件数が少なくても、責任は発生する
個人情報保護委員会は、個人情報を扱う件数について、多寡にかかわらず個人情報取扱事業者に該当すると説明しています。以前は5,000人分以下なら対象外でしたが、その基準は撤廃されました。
問い合わせが月に数件でも、保存していれば対象です。
さらに、不正アクセスなどで漏えいした場合は、件数に関わらず個人情報保護委員会への報告が必要になることがあります。しかも期限は数日単位です。本業を止めて対応することになります。
詳しい要件は個人情報保護委員会の資料で確認できます。個別の判断が必要なら専門家に相談してください。
AIが書いたコードを、自分で検証できるか
実務上は、ここが一番の論点です。
フォームからデータを保存する処理には、入力値の扱い、保存先の権限、管理画面の認証など、確認すべき点がいくつもあります。AIはそれらしいコードを出力しますが、安全かどうかを判断するのは設置する人です。
コードを読んで問題点を指摘できるなら、③でも構いません。読めないまま動いているなら、動いていることと安全であることは別だと考えたほうが安全です。
自分で作り込む場合の確認項目は、AIで個人開発したアプリを公開する前のチェックリストにまとめています。
なお、ここでの説明は一般的な整理です。個別の判断が必要な場合は、個人情報保護委員会の資料や専門家に確認してください。
預からなければ、漏れる個人情報がない
①と②に共通するのは、サイト側に問い合わせ内容を残さないという点です。
届いた内容はメールソフトの中にあります。守る対象が「サイト」から「自分のメールアカウント」に変わります。後者のほうが、個人や小規模店舗には守りやすい対象です。
- パスワードを強くする
- 二段階認証を使う
- 不要になったメールは消す
やることが具体的で、AIが書いたコードの検証は不要になります。
これは「手を抜く」選択ではありません。 預かるものを減らすのは、セキュリティの基本的な考え方のひとつです。
メールアドレスを載せる方法の弱点
ここは正直に書きます。①には明確な弱点があります。
スパムは実際に届く
エックスサーバーの公式記事も、この点を指摘しています。
メールアドレスをそのままWebサイトに掲載していると、そのアドレスを収集されてスパムメールが大量に届くリスクがあります。このため、問い合わせフォームを設置することが正解といえるでしょう。
サーバー会社の見解としては、フォームを推奨する立場です。 この記事の結論とは異なります。
両方を踏まえたうえで、筆者は次のように考えています。スパムは迷惑メールフィルタで減らせますが、漏えいした個人情報は取り消せません。 どちらのリスクを引き受けるかという判断です。
スパムへの現実的な対処
①を選ぶ場合、次の3つで実務上は回ります。
- 問い合わせ専用のアドレスを分ける — 手に負えなくなったら作り直せます
- 迷惑メールフィルタを有効にする — エックスサーバーの迷惑メール対策・設定ガイドで設定できます
- 送信ドメイン認証を設定する — 自分から送るメールが相手に届きやすくなります。DKIM・SPF・DMARCの設定方法で解説しています
画像にしてアドレスを載せる方法もありますが、読者がコピーできず、スクリーンリーダーでも読めません。問い合わせを増やしたいのに、問い合わせづらくするのは本末転倒です。筆者はテキストで載せることをおすすめします。
フォームを使うなら、保存しない設定にする
②は①と③の中間です。フォームは置くが、送信内容はサイトに残さないという運用です。
WordPressとContact Form 7の組み合わせなら、これが既定の動作になります。Contact Form 7は、送信されたメッセージをどこにも保存しません。管理者宛にメールが飛ぶだけです。
保存が始まるのは、同じ作者のFlamingoというプラグインを追加したときです。Flamingoを入れなければ、問い合わせ履歴はデータベースに残りません。
つまり②を選ぶなら、やることは単純です。
- Contact Form 7を入れる
- Flamingoは入れない
- 送信先を、確実に受け取れるメールアドレスにする
- スパム対策を入れる(Contact Form 7の海外スパム対策で解説しています)
ただし②には条件があります。メールが届かないと、問い合わせが消えます。 保存していないので復旧できません。送信ドメイン認証を設定し、テスト送信で確認してから公開してください。
このサイトの場合
うさぎコードのお問い合わせも、②の構成です。
- 入力内容はデータベースに保存していない
- エックスサーバーのSMTPを使って、管理者宛にメールを送るだけ
- 受け取ったメールは、通常のメールと同じように管理する
フォームを使うこと自体が問題なのではありません。 送信先と、データがどこに残るかを把握したうえで選んでいるかどうかです。ここを自分で確認できるなら、②も③も選べます。
どれを選ぶか
規模よりも、送信先とデータの行き先を自分で確認できるかで決まります。
| 状況 | おすすめ |
|---|---|
| AIが出したコードの中身は分からない | ① |
| 電話とメールで足りている。Webは案内が主目的 | ① |
| 送信先の設定を自分で確認・テストできる | ② |
| WordPressを使っていて、管理する人がいる | ② |
| 保存先の権限や管理画面の認証まで確認できる | ③ |
| 要配慮個人情報(健康状態など)を受け取る | 専門家に相談 |
迷ったら①から始めて構いません。 後からフォームを足すのは簡単ですが、集めてしまった個人情報を後から無かったことにはできません。
①で始める手順
必要なのは、独自ドメインのメールアドレスです。
なぜ独自ドメインなのか
フリーメールでも問い合わせは受けられます。ただ、事業の連絡先としては、独自ドメインのほうが伝わります。
- 名刺、チラシ、看板に載せたときに、サイトと同じドメインで揃う
- 無料サービスのサブドメインと違い、サービスが終わっても住所が変わらない
- 受け取る側が、なりすましと区別しやすい
ホームページのドメインとメールのドメインが一致していることは、小さいようで効きます。
実際の手順
- サーバーを契約し、独自ドメインを設定する
- 問い合わせ用のメールアドレスを作る(新サーバーパネルでの作成手順)
- 普段使うメールソフトで受信できるようにする(メール設定と使い方)
- 迷惑メールフィルタと送信ドメイン認証を設定する
- サイトに、テキストでアドレスを載せる
サイトのホスティングとメールを同じ契約でまとめられるので、管理する場所が増えません。メールだけを別サービスにすると、設定も請求も分散します。
無料の公開先ではなく、独自ドメインを勧める理由
問い合わせの話と地続きなので、あわせて書いておきます。
AIで作ったサイトは、無料の公開先にもそのまま置けます。使い分けとしては次のようになります。
| 用途 | 無料の公開先 | 独自ドメイン+サーバー |
|---|---|---|
| 試しに見せる、練習する | 向いている | 不要 |
| 事業の連絡先として使う | 住所が変わる可能性がある | 変わらない |
| 名刺や印刷物に載せる | 載せにくい | 載せられる |
| メールも同じドメインで使う | 別途必要 | まとめられる |
| 日本語のサポート | サービスによる | ある |
無料サービスが悪いわけではありません。印刷物に載せた住所が変わると困る、という一点が違いです。名刺を刷り直す事態は避けたいところです。
公開先の比較はAIで作ったサイトの公開先はどこ?、実際の公開手順はAIで作ったサイトを公開する方法で詳しく扱っています。
業者に依頼したほうがよい場合
自分で作ることを勧める記事ですが、向かない案件もあります。
- 予約、決済、会員登録など、個人情報を継続して扱う仕組みが必要
- 健康状態や資格情報など、要配慮個人情報を受け取る
- 社内に管理担当を置けず、更新も止まる見込み
- 事故が起きたときに、数日で対応できる人がいない
このあたりに当てはまるなら、費用をかけたほうが結果的に安くつきます。「自分で作れること」と「自分で運用し続けられること」は別です。
よくある質問
メールアドレスを載せると、本当にスパムが来ますか?
来ます。ただし量は状況によります。問い合わせ専用のアドレスを分けておけば、手に負えなくなったときに作り直せます。迷惑メールフィルタを有効にしておくのが前提です。
画像でメールアドレスを載せるのはどうですか?
収集を減らす効果はありますが、読者がコピーできません。スクリーンリーダーでも読めないため、おすすめしません。
Contact Form 7を使うと、問い合わせ内容はサーバーに残りますか?
Contact Form 7だけなら残りません。Flamingoプラグインを追加したときに保存が始まります。保存したくない場合は、Flamingoを入れないでください。
無料のフォームサービスを使うのは安全ですか?
提供元が個人情報を管理するため、自作より安全なことが多いです。ただしデータはその会社に保管されます。利用規約と保管場所を確認し、プライバシーポリシーに記載してください。
プライバシーポリシーは必要ですか?
個人情報を取得する場合、利用目的を本人が確認できるようにしておく必要があります。フォームを設置するなら用意してください。メールアドレスを載せるだけの場合も、書いておくほうが親切です。
後からフォームに変更できますか?
できます。①から②へ移るのは難しくありません。逆に、集めた個人情報を無かったことにはできないため、迷うなら①から始めるのが安全です。
まとめ
AIでホームページは作れるようになりました。決める必要が残っているのは、問い合わせをどう受けるかです。
- 選択肢は3つ。分かれ目は、個人情報を預かるかどうか
- 取り扱う件数が少なくても、責任は発生する
- Contact Form 7は、Flamingoを入れなければ保存しない
- メールアドレス掲載にはスパムという弱点がある。フィルタで減らせるが、漏えいは取り消せない
- 事業の連絡先にするなら、ホームページとメールのドメインを揃える
フォームが悪いわけではありません。 送信先とデータの行き先を自分で確認できるなら、フォームで構いません。確認できないまま動かしているなら、独自ドメインのメールアドレスを載せるだけでも、問い合わせは十分に受けられます。
預かるものを減らすほど、守るものが減ります。