育児中のWeb制作副業にコーディングをおすすめする理由
Web制作の副業は、在宅でパソコン1台あれば始められるため、子育て世代にとても人気があります。「プログラミング学習」や「Webデザインスクール」に通い、スキルを身につけて新しい働き方を模索している方も多いのではないでしょうか。
でも、実際に案件を受けてみると、「想像以上に大変で、家庭との両立が崩壊しかけた」という声もよく耳にします。
私自身、本業で開発業務に携わりつつ、家では保育園に通う小さな子どもを育てています。だからこそ、「時間がない」という恐怖がどれほど現実的なものか、痛いほど分かります。
今回は、限られた時間で戦う私たちが、なぜ「Web制作の全工程」ではなく「コーディング」に絞るべきなのか。
私自身の実体験と、現場での発注側の視点から、その理由をお話しします。
※この記事の要点まとめ
- 育児中の副業では「単価」より時間のコントロールが重要
- デザインやSEOは不確定要素が多く、家庭との両立を考えると注意が必要な場合がある
- コーディング特化はスケジュールとコストの見積もりが立てやすい
副業で「全部やる」は危険。まずは時間を守れる仕事を
結論から言うと、育児中の副業で大切なのは「単価」ではなく、「時間のコントロール」です。
Web制作の仕事には、デザイン、コーディング、SEO対策、サーバー構築など、多くの工程があります。これらを「まるっと全部やります!」と言えば、確かに案件獲得の幅は広がるかもしれません。
しかし、それは同時に「終わりの見えない修正地獄」への入り口でもあります。
子どもが熱を出したり、園からの呼び出しがあったりする私たちにとって、スケジュールが読めない仕事は致命的です。
私が「コーディング特化」をおすすめする理由は、まさにここにあります。
デザインやSEOは“答えがない仕事”。だから不確定要素が多い
なぜ「全部やる」のが危険なのか。
それは、デザインやSEOが「正解のない仕事」になるケースが多いからです。
デザインはクライアントの感覚に左右されやすい場合がある
デザインは、クライアントの感覚や好みに大きく左右されます。
- 「やっぱり色を変えてほしい」
- 「このテイストにしてほしい」
- 「イメージと少し違う」
- 「社内で別の意見が出たようで、調整してほしい」
といった修正依頼が、後から後から出てくることも珍しくありません。
これらは「間違いの修正」ではなく「好みの調整」です。
そのためゴールが曖昧になり、見積もった以上の工数が発生しがちです。
子どもを寝かしつけた後の貴重な作業時間が、終わりのない修正対応で消えていく──そんな状況にもなりかねません。
SEOも“正解がわからない”
SEO(検索エンジン最適化)も同様です。
- 施策を打ってから結果が出るまで数週間かかる
- 「改善しないので再対応」という手戻りが発生する
- クライアントからの「早く結果を出して」というプレッシャー
さらに、元々の依頼内容にSEO対応が含まれていなかったとしても、
「HP制作=検索順位も上げてくれるんでしょ?」
という認識のクライアントも少なくありません。
これらに巻き込まれると、時給換算で数百円……という事態にもなりかねません。
コーディングは“自分でコントロールできる仕事”
一方で、コーディングは非常にロジカルな仕事です。
- デザインデータ通りに実装されているか
- レイアウトが崩れずに表示されているか
- 動きは仕様通りか
これらが満たされていれば「完了」です。
「できた・できていない」が明確なため、クライアントとの認識のズレも起きにくいのが特徴です。
また、自分のスキルを把握していれば、
「このページなら3時間で組めるな」
といった形で、比較的正確な見積もりも立てられます。
再現性がある=育児や家事の時間を確保しやすい。
これが、私が育児世代にコーディングをおすすめする最大の理由です。
実際にあったトラブル例と、そこから学んだこと
実際のクライアントワークでは、事前に想定していなかった形でトラブルやすれ違いが起きることがあります。
ここでは、私自身が経験した中で、「なぜ作業範囲の線引きが重要なのか」を強く実感した事例を紹介します。
SEOは依頼内容ではなかったが、納品後も問い合わせが続いたケース
新規ドメインで制作したWebサイトを公開した直後、クライアントから
「検索しても全然出てこないのですが、大丈夫ですか?」
という連絡がありました。
Search Consoleの設定やインデックス登録リクエストなど、制作側で対応できる範囲は行っていましたが、SEOや検索結果の表示タイミングについては、今回の依頼内容には含まれていません。
それでも、
- 「まだ検索結果に出てこないのですが……」
- 「制作に問題がある可能性はありませんか?」
- 「何か追加で対応してもらえますか?」
といった連絡が、納品後も一定間隔で続きました。
新規ドメインの場合、検索結果に反映されるまで時間がかかるのは珍しいことではありません。
しかしクライアント側からすると、
- 公開した
- =すぐ検索に出るはず
という認識になりやすく、制作の問題とSEOの問題が混同されてしまうケースも少なくありません。
この経験から感じたのは、SEOは業務範囲に含めていない場合でも、線引きを明確にしておかないと、責任を求められやすい分野だということです。
デザイン校了後、コーディング中にデザイン修正が入ったケース
もう一つは、デザインからコーディングまでを一括で受けた案件での話です。
デザインはクライアント確認を経て一度校了し、その後コーディング作業に入りました。
すでに数ページ分を作成し、テスト環境にアップして動作確認まで進めている段階で、
- 「やっぱりデザインを少し変えたい」
- 「全体のテイストを調整してほしい」
といった要望が出ました。
デザインの修正内容によっては、
- レイアウトの組み直し
- CSSの全面調整
- 場合によっては全ページの修正
が必要になることもあります。
この段階では、「デザイン修正が、コーディング工程に大きな影響を与える」という認識が、クライアント側と十分に共有されていませんでした。
結果として、当初想定していなかった工数が発生し、スケジュールや負担が大きく崩れてしまいました。
学び:不確定要素が多い工程ほど、責任範囲の線引きが重要
これらの経験から学んだのは、不確定要素が多い工程(SEO・デザイン)ほど、事前に責任範囲を明文化しておかないと、仕事が終わらなくなるということです。
- SEOは結果が出るタイミングをコントロールできない
- デザインは後工程(コーディング)に大きな影響を与える
副業で限られた時間の中で働く場合、これらをすべて引き受けるのはリスクが高くなります。
だからこそ私は、副業では「コーディングに絞る」「SEOは業務範囲に含めない」「デザインは校了後に着手する」という線引きを徹底するようになりました。
対策:作業範囲を明文化し、線引きを明確にする
それ以来、私は以下のことを徹底しています。
- 作業範囲を文章で残す
- 見積書に「対応範囲外・追加費用の条件」を明記する
- チャットでも必ず確認を残す
また、コーディング納品後に
「スライドショーを追加したい」
といった要望が出た場合に備え、よくあるパーツはテンプレート化してストックしています。
こうしておけば、追加要望が来てもゼロから作る必要がなく、短時間で対応しつつ追加費用を請求できます。
無理な要求が続く場合は、「今後のお付き合いはここまで」と割り切る勇気も必要です。
お互いにリスペクトし合えるクライアントとだけ仕事をする。これが、メンタルを守りながら副業を続けるコツです。
「知識は広く、作業は絞る」が育児副業の基本
誤解してほしくないのは、「デザインやWebマーケティングの知識は不要」と言っているわけではありません。
むしろ、WebデザインやSEOの基礎知識は持っておくべきです。
それらを知っているからこそ、コーディング時に
「ここはSEO的にこうした方がいいですよ」
といった提案ができ、信頼にもつながります。
大切なのは、「知識として持つこと」と「商品として売ること」を分けるという考え方です。
副業で家庭と両立するなら、「全部売る」のではなく、どこまで責任を持つかを自分で決めてしまいましょう。
安心して働くために知っておきたいサポート制度
もしトラブルが起きた場合には、フリーランス向けの相談窓口「フリーランス110番」などのサービスもあります。
また、営業や契約交渉に不安がある場合は、間に立って調整してくれるフリーランスエージェントを頼るのも一つの手です。無理に個人ですべてを背負い込む必要はありません。
2024年11月に施行された「フリーランス新法」によって、私たちのような個人事業主の権利も少しずつ守られるようになってきました。こうした制度を知っておくだけでも、精神的なお守りになります。
まとめ:クライアントワークは「線引き」が何より大事
- 時間を奪われる原因は「不確定な作業範囲(デザイン・SEO)」
- コーディングは見積もりが立てやすく、家庭との両立に向いている
- 作業範囲の「線引き」が、自分と生活を守る
副業の目的は、家計やキャリアを支えることですよね。
でも、そのために生活が犠牲になってしまっては本末転倒です。
だからこそ、**「自分の時間を守れる働き方」**を選んでほしい。
これは、実際に育児をしながらエンジニアとして働いている私の、リアルな実感です。